2008年04月16日

ガス・ヴァン・サント映画の曇り空

e2daf595.jpg『パラノイドパーク』(監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント、撮影監督:クリストファー・ドイル)

ポートランドに住むスケートボード少年たちの日常と事件を描いた作品。

「Xゲーム」を見るのが好きなんですけど、何に惹かれるかというと「Air」なんスよね。浮力、その瞬間。時間が揺らいで音が消える、あるいは、小さな音が逆に強調される感じ(実際に競技している人がどう感じているかはわからないケド)。

『パラノイドパーク』を見ていてその感じと共通するものがあるような、前作『ラストデイズ』同様音にこだわっていて、ゴダールの『アワーミュージック』等も思い出したりしつつ、ガス・ヴァン・サントの作品ってそんな風に音と映像で語る部分がとてもイイんだなぁと思うワケです。

少年達がただただスケートボードをするところや(この映像なんかはクリストファー・ドイル テイスト強し)、少年がただ歩いているところ、ただぼんやりしているところなんかを、ずーっと見続けていたいと思えるんスよ。

んで、少年が時々一人で手紙を書きに行く海辺の草むらの冴え具合などドキっとします。

『ラストデイズ』の冒頭30分を観た時の「スゲーッ!もしかしてコレって大傑作?」と感じたような興奮は無かったけど、少年の顔とスケートボードの音がいつまでも頭にこびりついて離れない作品。映画館から出てしばらくは完全にガス目線で、日常が自分をどんどん通り過ぎて行く感じ。渋谷109前の交差点では車に飛び込こんでしまおうか?という強い衝動にかられました。あぶねーっつーの!

『ラストデイズ』を観た後しばらく「しまった!森を持って帰って来てしまった」と思ったもんだが、今回もそんな風で、ヴェンダース、ジャームッシュには「何言ってんだ? オッサンが。」とガッカリさせられたけど、ガスはまだまだストリートにいるようです。

今回使われていた音楽の中ではイーサン・ローズが素敵でした。CD買うです。

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