2005年10月14日

『亀も空を飛ぶ』

2392608a.jpg『亀も空を飛ぶ』(監督:バフマン・ゴバディ)

イラン出身のクルド人であるバフマン・ゴバディ監督の最新作でアメリカのイラク侵攻直前、トルコ国境近くのクルド人集落で暮らす子供達の姿が描かれた作品。

登場するのは老人と子供ばかりで、必然的に幼い子供達が大人の役割を担う事になります。と言っても、いたる所に地雷が埋まり難民が溢れる村で得る僅かばかりの現金収入は、地雷を集めて売りさばくというキケンな作業によって得られるもの。

腕や脚の無い子供、テントでの難民生活、機関銃、戦車、地雷。それが彼らの日常なのだと言うことにもの凄く説得力があるのは、その目線が「生きる事と死ぬ事」と言う、人間なら誰しも馴染みがある事実に据えられているからでしょうか。同じ人生なのに彼らが背負う重荷はあまりに重く、流す涙は私なんかが流す感傷の涙とは全然まったく種類が違う。強くて凛とした彼らの姿は神々しくさえありました。

こんな風に書くと、コチコチの社会的映画か芸術映画か、何にしても面倒くさそうだと思われる方もおられるかもしれませんが、「映画」としての見せ方も凄く良くできていて、同監督の傑作『酔っぱらった馬の時間』よりも見やすいかもと思うので、普段この手の映画を敬遠されている方にも観て欲しいッス。

人生は苦労ばかり/子供ですら老いてゆく/
険しい山を越え/深い谷を巡るつらい仕事が僕らを死へ導くよ/
人生は苦労ばかり/子供ですら老いてゆく/
厳しい毎日が僕らの若さを奪う
(『酔っぱらった馬の時間』より)



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