2005年09月15日

コシ・シケレリ・アフリカ

fe23778b.jpg写真は実家で荷物整理をしていて出てきた『アシナマリ』のチラシ。
この作品は89年に渋谷パルコにあった300席程の劇場で観た南アフリカの音楽劇です。「アシナマリ」とは「We have no money」の意。当時南アではアパルトヘイト政策に伴い黒人居住区への強制退去が日常的に行われていました。作者であるムボゲニ・ンゲマも政府によって住居を破壊され、行くあてもなく路上を彷徨ったひとり。

その頃黒人居住区の家賃値上げ反対運動に取り組んでいた弁護士、ムジーゼ・デューベが叫んだ言葉が「アシナマリ!」だったのです。(デューベは自宅の玄関前でめった切りにされ殺された。)

劇の内容は南アフリカの牢獄を舞台とし、5人の囚人が何故服役する事になったかをセリフ、ダンス、歌によって表現したもの。セットもなにもない舞台に5人の役者が出てくるだけのシンプルな作品なのですが、躍動的で力強くてユーモラスな風刺が散りばめられた素晴らしい舞台でした。

思わず笑ってしまうアパルトヘイト政策に伴う政府の行動なんだけど、それを大真面目にやってるんですよとバカバカしさを浮き彫りにする手法が効果的で、クライマックスの「アシナマリ〜」と魂の底から絞り出すような叫びには、胸をわしづかみにするような迫力がありました。そして歌がまたイイ!ポール・サイモンの『グレイスランド』(86年)に参加して注目を集めたコーラスグループ、レディスミス・ブラック・マンバーゾとかの雰囲気ですね。

結局、アパルトヘイト政策は90年代に入って撤廃され、94年の全人種参加による総選挙で勝利したANC(アフリカ民族会議)のネルソン・マンデラ議長が大統領に就任しました。しかし相変わらず白人と有色人種の間では貧富の差が激しく失業率は30%を超えており、殆どが黒人。エイズが大流行し犯罪率も高い。南アもまた他のアフリカ諸国と同様に今も苦しみ続けています。





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