『眠り姫』(監督:七里圭 出演:つぐみ、西島秀俊、他 原作:山本直樹)
映画サイト「みんなのシネマレビュー」でお世話になっている、なるせたろうさんの紹介で週末に下北沢で上映された『眠り姫』を観ました。
ヴィム・ヴェンダースの『夢の果てまでも』で登場する、自らの夢を映し出すことができる機械があったらこんな風景が見えるのかもしれないなぁ。
その映像は、心の奥底では知っていて馴染み深いのに現実ではない景色、心の中と現実の間のうすボンヤリとして曖昧で、誰も踏み込む事のできない圧倒的に孤独な空間を思わせました。
劇中、深くて果てしない霧の中をゆらゆらと歩く影の映像を見た時、ふいに何やら心をグイっとつかまれて泣きそうになりました。「ああ私も、何処にも辿り着く事のできないこんな広野を歩いた事がある」と。
会話のシーンにちょっと違和感がありましたが、山本直樹さんの漫画の雰囲気は出ていたのでそこは好き嫌いなのかもしれません。上映に合わせて生演奏した室内楽団カッセ・レゾナントの音楽も良くて、とても素敵な映画でした。
「ひとつの思い込みから解放されて、また次の思い込みに捕らわれる。」
そんな台詞にはちょっと目眩がしました・・・。