2007年01月30日

"Say it ain't so, Joe"

ffb84455.jpg『エイトメン・アウト』(監督・脚本:ジョン・セイルズ、出演:チャーリー・シーン、ジョン・キューザック他)

アメリカ・メジャーリーグ史上最悪のスキャンダル、1919年のワールドシリーズにおける八百長事件「ブラックソックス事件」を描いた映画。

ツライ・・。観ていてツラすぎる映画でした。この事件はいわば「全盛期の長嶋茂雄や王貞治ら8選手が、日本シリーズで八百長試合を行い球界を永久追放された」ようなものなんスから。

映画はセンチメンタルになり過ぎず、かなり堅い作りで、選手達が八百長に荷担してしまう経緯が実にスムーズに理解できます。当時の球場や賭博場など美術も落ち着いていて良いし、映像がキリッとしています。

それと、男性達の着ているスーツがみんな体に合っていてステキ。

但し、あの有名なセリフ「嘘だと言ってよ、ジョー」の使い方がイマイチだったなぁ。シューレス・ジョーじゃなくて、バック・ウィーバーに重点を置いていたからか。つーか、あのセリフ実はフィクションらしいが。

ところでこの映画、監督はジョン・セイルズだったんスね!
ジョン・セイルズと言えば(テイストはまるっきり違うけど)ジャームッシュ等と共に80年代、期待していたインディーズ系監督ですが最近聞かないスね。  

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2007年01月19日

知らなかった・・

7110ee58.jpgマイケル・ブレッカーが13日、白血病のため亡くなりました。57歳。

パット・メセニー、ハービー・ハンコック、ジャック・デジョネット、ブラッド・メルドー等が参加した遺作(3月下旬発売予定)は、2週間前に完成したばかりだったとか。

マイケル・ブレッカーは親日家で度々来日していたらしいけど、私自身は随分昔にハービー・ハンコックのカルテット(&ロン・カーター、トニー・ウィリアムス)で来日したサントリー・ホールでの公演を観たのが最初で最後でした。

トニー・ウィリアムスも亡くなったしなぁ。気になる人のライブってのは行っておくべきスね、一生に一度の機会かもしれないし。やっぱり5月のキース・ジャレット公演行こう。

ご冥福をお祈りします。
  
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2007年01月15日

カサビアン@Zepp東京で汗だくの夜

a47fbc33.jpg昨日は英国レスターのバンドカサビアンのライブへ。

例によって、押し寄せてくる若者達から必死でテリトリーを守りながら楽しんだスよ。また行きたい〜。

最新アルバム「エンパイア」をCDで聴いた時は少し軽くて単調な気がしたんだけど(我が家のしょぼいオーディオシステムの影響が多分にあるとか、ないとか)、ライブはダークでドラマチックでした。
サウンド的にプライマルと比較されるようですが、個人的にはシャーラタンズとかマーク・E・スミス率いるザ・フォール(え?違います?)などが脳裏をよぎったス。つまり、この人達はいわゆる「マンチェスター・サウンド」の発展系なんだな、と。

その辺のサウンドが好きな人には抗えない要素が色々詰まっているバンドです。新作のタイトル曲「エンパイア」のサビの部分とかさ、好きに決まってるでしょ?!

「フォ××ン2週間のジャパンツアーをやったけど、フォ××ン東京が一番素晴らしかったよ! 次はフォ××ンサマーソニックで会おうぜ!」
みたいな、、、そんなガラ悪さがまたフォ××ンたまらんゾ!アイッ!?
  
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2007年01月10日

『くちづけ(55年)』東宝

a1670349.jpg石坂洋次郎の短編小説を3人の監督がそれぞれ演出したオムニバス映画。

製作:藤本真澄、成瀬巳喜男
監督:【第一話】筧正典、【第二話】鈴木英夫、【第三話】 成瀬巳喜男
出演:笠智衆、司葉子、飯田蝶子、上原謙、高峰秀子、他

他愛ない男女の関係と、それを取り巻く人々を描いたコミカルな作品。

一番上手いのはやっぱり成瀬ッスね(第三話「女同士」)。軽やかに、スマートに、ちょっとイジワルに、実にセンス良く作ってあります。高峰秀子がまたステキなんだぁ。なんであんなにリアリティがあるんでしょうね、あの人の演技は。ラストのオチも洒落てます。

けど、一番心動かされたのが第二話の「霧の中の少女」。
夏休みで帰省中の長女を訪ねて、大学の友人である男性が泊まりに来る。若い二人に間違いがあってはとヤキモキする両親、二人を焚き付ける祖母、好奇心一杯の次女、何にも考えてない弟、が登場人物。

なんでもない話なんだけど、画面からあふれ出てくる明るさと優しさと何とも言えない幸福感に、ただただ泣けてきたスよ。

どの作品にも品(ひん)がある。日本人はいつから下品になったのかねぇ。(←と自分の事は棚に上げて)


ところで、大映映画に於いて数々の素晴らしい作品を手がけてきた美術監督の内藤昭氏が8日、筋委縮性側索硬化症のため死去、79歳。残念です。ご冥福をお祈りします。
  
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2007年01月08日

『あなたに不利な証拠として』

8698654a.jpgmixiの方には書いていたのですが、こちらは長らく放置してしまいました。
今さらながら、あけましておめでとうございます。

さて、『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド著/駒月雅子訳 です。

5人の女性制服警官がそれぞれ登場する10篇の短編集。「このミス」1位に選ばれた同作ですが、これは良かった。かなり好みの作品でした。

事件の通報があった時最初に到着するのが彼女たちパトロール警官。故にまず死体から始まるタフでワイルドな刑事を主人公とした多くのミステリーと違って現場がホットなんスよね、進行中の家庭内暴力とか交通事故現場とか。その辺の表現にリアリティがあって(作者自身が5年間市警に勤めた事があるらしい)、ミステリー分野での面白さも充分あります。

更に、登場人物たちの心の揺れを細やかに描いた普通小説の趣もあり。レベッカ・ブラウン著『体の贈り物』とか、映画だとロドリゴ・ガルシア 監督の『彼女を見ればわかること』のような、「開いた窓の前で立ち止まらないように(ジョン・アーヴィング)」、感情の波を押さえて日常生活をなんとかやり過ごして行こうとする女性の描き方が良いです。

次回作も期待。
  
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