2006年10月19日

『ブラック・ダリア』観ました

8113578f.jpg『ブラック・ダリア』(監督:ブライアン・デ・パルマ、出演:ジョシュ・ハートネット、スカーレット・ヨハンソン)

内容と切り離して純粋に映像だけを見るなら、とても良いです。ハリウッド大作映画にふさわしい、久しぶりに気持ちよく観ることができる映画らしい映画でした。

次ぎに物語ですが、これはいけません。
ラスト数十分に無理矢理オチを詰め込んでいるので、伏線を自動的に拾って変換する癖がついているミステリーファンでなければ、何のことやらサッパリわからんと思われます。実に潔くない!!

デ・パルマはリンチではないのだから、ミステリーの部分を単純に雰囲気たっぷりに見せりゃいいんスよ。『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソンみたいにさ。実際そう言う映画になると思ってたんだけど。

原作のジェイムズ・エルロイのファンとしての感想は「やっぱりね(ニヤリ)」。
エルロイの描く熱にうなされているような情念やらむきだしの憎悪やら歪んだ欲望と、覗き込んでしまったら引きずりこまれる深い真っ暗な闇をデ・パルマが表現できるとは思えない。実際、「登場人物達がブラック・ダリアに取り憑かれた」部分を描けなかったので、「なんで『ブラック・ダリア』なの?」って事になっちゃったんだよなぁ。そこんところを割り切って撮ればもっと楽しい映画になったのに、惜しい・・。

因みに私がこの映画で一番ステキだと思ったのは、レズビアン・クラブでの「Love for Sale」byコール・ポーターをバックにしたショウ。何故かね。

ところで、スカーレット・ヨハンソンってどおよ?
あの小娘にこの役はムリ。洋画でこれだけ幼稚な演技を観るのもめずらしい。雰囲気出てたのは、ダイニングテーブルの上でファックされてる時だけでした。
  

Posted by mogimami at 11:22Comments(0)TrackBack(0)

2006年10月13日

最近読んだミステリー本2冊

650e8580.jpg『真夜中の青い彼方』ジョナサン・キング著/芹澤恵訳 文春文庫
「マイクル・コナリー絶賛!正統派ハードボイルド」との謳い文句に惹かれて購入。

確かにこれは文体やストーリーが笑っちゃうくらいマイクル・コナリーであり、ローレンス・ブロックであり、ジョナサン・ケラーマン、或いはディック・フランシス。けど、スタイルだけで全然中身がないんだよなぁ。好きだから読んじゃうけどね。ヒマ潰し本ですな。

ただ、物語の舞台となっているフロリダ南部の大湿地帯「エヴァーグレイズ」の描写は興味深いです。アメリカにもこんなところがあるのねぇ、と思っていたら丁度「マイアミ・バイス」でこのエヴァーグレイズを舞台にしたエピソードが放映された!


『血の協会(上)(下)』マイケル・グルーバー著/田口俊樹訳
こちらは翻訳が田口さんだったので購入。

なかなか面白かったすよ。舞台はマイアミとアフリカのスーダン。虐待、レイプ、麻薬・武器密輸ビジネス、宗教、奉仕、石油、テロリスト・・・盛り沢山です。ミステリーの世界も社会情勢の変化とともに変わって行くっスね。謎解き系じゃないので純粋なミステリー・ファンにはダメかもです。

この作品の中に「サンテリア」というキューバの黒人が信仰している宗教が出てきます。このサンテリアの雷神像である「シャンゴ」ってのがまた、読んだ直後「マイアミ・バイス」に登場。

どちらもフロリダ、マイノリティーでヒットする項目なんでしょうが、あまりのグッドタイミングにちょっと驚いたス。タイミングと言えば2、3日前「パタリロ」を全巻そろえようかと家族会議(?)で話題になったんだけど、そしたらあまみさんがブログで「パタリロ」の話をしてるじゃないスか!繋がってますね〜。

さて、次ぎは実に久しぶりのエルロイの新作『獣どもの街』を読む予定。  
Posted by mogimami at 10:52Comments(2)TrackBack(0)