2005年04月22日

『秋立ちぬ』

bb20af8e.jpg『秋立ちぬ(60年)』(監督:成瀬巳喜男 脚本:笠原良三 出演:大沢健三郎、乙羽信子、加東大介、他)

父親を亡くした秀男は小学6年生の夏休み、長野から母親(乙羽信子)に連れられて上京、銀座で八百屋を営む親戚の家に預けられます。母親は近くの旅館で住み込み女中として働くのですが、秀男はそこの女将の娘である順子と親しくなります。この女将はお妾さんで、順子は「お父さんには本宅があるのよ」なんて平気で言ってるんだけど、やっぱり何処か周囲から浮いていて、孤独な2人は兄弟のようにお互いを気遣うのです。

秀男と順子が晴海の海岸で遊ぶシーンが素晴らしく良いです。世間に取り残されて行き場を失った幼い二人が、ほんのつかの間やさしく包まれる瞬間。世界と完璧に一体となった美しき瞬間に胸が締め付けられます。やがて夢の時は終わり、それぞれが属する現実へと戻って行く悲しさと力強さ。良い映画でした。とっても。

それにしても、重要だけどちょっと出てくるだけの加東大介。ホントにこの手の役が似合うなぁ・・。



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この記事へのコメント
黒猫クロマティさん、こんにちわ
加東大介は、成瀬映画ファンには愛すべき人物ですよね。

ちょっとしか登場しないことが多いように思うのですが、
加東さんの顔を見ると、ホッ、とします。
Posted by cafenoir at 2005年04月22日 12:38
>cafenoirさん
加東大介さんは小津映画でもいい味出してますよね。

>加東さんの顔を見ると、ホッ、とします。
言えてます!あと、あの人が登場すると
作品にリズムが出るって気がします。

Posted by 黒猫クロマティ at 2005年04月22日 13:31
『秋立ちぬ』は、ぼくも最愛の成瀬映画のひとつです!

それにしても、最後にはあの少年を本当の“ひとりぼっち”にしたまま映画を終わらせる成瀬カントクって…
本当に、この人の映画は哀しくて、コワイです。

ところで、この映画の主人公の少年は、ジャイアンツの野球帽をかぶってましたよね? 実は、大島渚の『少年』でも、主人公の少年は野球帽をかぶっていたことを、ふと思い出しました。こちらの映画の少年も、本当に哀しくて、哀しくて…

ジャイアンツの野球帽=可哀想な少年

こんな“図式”がぼくのなかで出来上がっちゃいました。なんて言うと、ジャイアンツ・ファンの黒猫クロマティさんに嫌がられるかナ(笑)

府中競馬場、2回行ったことがあります。あの開放感、たまんないっすよねぇ。
健闘を祈ります!
Posted by やましん at 2005年04月22日 14:11
ラストは哀しくて静かですよね。そこに何とも言えない独特の余韻があって好きです。凄く端整で完成された作品に思えました。

あと、軽いんだけど善良なお兄ちゃんにホッとさせられます。どうでも良いけど、カブトムシを真っ昼間に獲るのはムツカシイんじゃいかなぁ。

ジャイアンツの野球帽、確かにかぶっていましたね。私の弟もそうでしたが、昔はプロ野球チームのロゴが入った野球帽をかぶってる子が多かった。その帽子をとってペコっとお辞儀をするのが何となく少年らしい姿って気がします。

明日は翌日のフローラSの馬券を買う分だけは残しておかなければ・・と思う黒猫です。(←イカンぞ!そんなネガティブじゃあ)

Posted by 黒猫クロマティ at 2005年04月22日 16:39